露出|絞りとシャッターの関係

カメラで写真を撮る時、最初に覚える基本的な知識

露出とは(シャッターと絞りの役割)

露出とはフィルムに光をあてること(デジタルなら撮像素子に)
この露出の量を決める要素が「絞り」「シャッター速度」です。

絞りは、光がレンズを通過してくる穴の大きさを調整すること
絞りの違いによる写り方の違い絞りの効果と作例に書いてあります。

f5.6とかf8などと表され数字が小さいほど光の通過する穴の面積が大きくなり
数字が大きくなると光の通過する穴の面積が小さくなります。

シャッター速度はフィルムに光を当てる時間です
シャッター速度の変化による写り方の違いシャッター速度・効果と作例に書いてあります。

基本的に、絞りは穴が大きい順に
F1.4 → f2 → f2.8 → f4 → f5.6 → f8 → f11 → f16 → f22と表され
この場合だと1つ右にずれると、穴の面積(光の通り道)が1/2になって行きます

絞りの操作で数字を大きい方に操作する(穴の面積を減らす)ことを「絞る
その逆に、数字を小さい方に操作する(穴の面積増やす)ことを「開ける」と言います
一番小さい数字にしたときのことを「絞り開放」とか「開放絞り」と言います

レンズの絞りが動くイメージ写真
上の写真はレンズを正面から写したものです。

絞り羽根が動いて穴の大きさが変わる感じがわかると思います。
穴が小さいほど絞りの値は大きくなります

シャッター速度も、基本的には
1/500s 1/250s 1/125s 1/60s 1/30s 1/15s 1/8s 1/4s 1/2s 1s 2s 4s(sは秒)
1段変えると光がフィルムにあたる時間が倍になったり、1/2になります

絞りもシャッター速度も「基本的には」と書いたのは、最近(結構前からですが)は1段ごとではなく1/2段とか、1/3段ステップと中間も選べるからです。

 
実際に写真を撮る場合は特定の絞りと特定のシャッター速度の組み合わせを選び
どれだけの量の光をフィルムに当てるかは撮影者が自由に決めることになります

自由に決めることはできますが、ちゃんと写るかどうかは別問題
フィルム(撮像素子)が表現できる露光量には限界があり
その範囲を超えると露出オーバー露出アンダーとなり、フィルムにはちゃんと写りません


意図した感じで写ったもの
参考データ:絞りf4・シャッター1/250(ISO感度100)

露出オーバーの写真
露出オーバーになったもの
参考データ:絞りf1.4・シャッター1/100(ISO感度100)

露出アンダーの写真
露出アンダーになったもの
参考データ:絞りf8・シャッター1/4000(ISO感度100)

その時の被写体の明るさによってフィルムにあたる光の量(露出の量)を調整する必要があります
強い光があれば露出量は小さくなり、弱い光なら露出の量は大きくなります

 

光の強さによって「絞り」や「シャッター速度」を調整して、フィルム(撮像素子)に当たる光の量を調整する必要があります。

 

絞りとシャッターの関係性

これまでのところで

絞りは、光が通ってくる穴の大きさを変えること
シャッターは、光が通ってくる時間を調節すること

ということを説明して来ました。

イメージとしてはこんな感じです。

この黄色い円は『絞りによて作られた光の通り道』です。
上の方にある実際のレンズの写真で言うと、中央の穴の部分です。

光は早くてイメージしにくいのでいので【ところてん】でもイメージして下さい。
上の黄色い穴の部分を一定時間(シャッターを開いていた時間)分だけ、『光』【ところてん】が通り抜けたイメージが

これになります。

青い部分が、穴を通って来た『光』【ところてん】で
この長さはシャッターを開いていた時間によって変わります。

そして黄色い穴の面積と青い筒の長さで求められる
円筒の体積がフィルムに当たる『光の量』となります。

例えば、絞りを操作して穴の面積を倍にしてみる

実際の絞りの操作では『1段開けた』状態で
最初の図が、仮に絞りがf4だったとしたら、f2.8の状態です。

最初の時と同じ露光量(筒の体積)にするためには

こんな感じで、光が通る時間を1/2にすればいいです。

具体的な数字で例えるとすると
最初の例が絞りf4、シャッター速度1/250だったとしたら
絞りf2.8、シャッター速度1/500の関係です。

更にもう一つ入れますが


こちらは、最初のものと比べて
穴の面積が半分、シャッターを開けている時間が倍ですから
絞りf5.6、シャッター速度1/125のイメージです。

先に書いた露出オーバー、露出アンダーの補足ですが
作例撮影時の光の強さやISO感度設定の条件で綺麗に描写できているのは、絞りf4・シャッター1/250ですが、オーバーなものは、絞りf1.4・シャッター1/100で、光の通り道も大きくなっているのに露光時間も増えており、適正な光の量を大幅に超えている事がわかります。

逆にアンダーのもは、絞りf8・シャッター1/4000と穴も小さくなり時間も短くなっていて【筒の体積が足らず】光の量が足りないと言う事がわかると思います。

同じ露光量なのに絞りとかシャッターの「組み合わせ」を変える理由

これが写真表現にとって一番の肝です

絞りとシャッターの組み合わせ、[f2.8と1/500]や[f4と1/250][f5.6と1/125]は全て露光の量が同じなのに「何が違うのかな?」とカメラを初めて手にした時に思いましたが

絞りを操作する事で被写界深度が変わり、ピントの合う範囲が変化して写真の見え方が変わります。
シャッター速度は、高速シャッターで肉眼では見えない一瞬を写し込んだり、スローシャッターで非現実的な情景を写し込んだりできます。

昔読んだ本に『この事さえ分かっていれば後は実践あるのみ、表現の仕方は自由』みたいな事が書いてありましたが、その通りだと思います。

絞りとかシャッターの変化による映り方の違いは、この記事に
絞りの効果と作例
シャッター速度・効果と作例
(芸術的なものでは無いですが、映り方が変わることは分かる)

EVとかISO感度&露出計

写真を撮るという作業は、被写体に当たって反射して来た光をレンズを通してフィルム(デジタルなら撮像素子)に露光する作業で、レンズを通して入ってくる光の条件は様々で、真夏の日中のように強い光の時もあれば、室内のロウソクの明かりのように弱い光の時もあります。

更に、使っているフィルムのISO感度(デジタルならISO感度設定)によって感じ方が違い、その時々の条件によって絞りやシャッタースピードを決めて、フィルムに届く光の量を調節する必要があります。
例えばISO感度100の時の組み合わせがf4と1/250だとした場合、ISO感度が400の場合だと4倍感じやすいフィルムという事なので、絞りやシャッターでいうと2段分光の量を減らす操作をすることになり、絞りを2段分絞ったり、シャッターを2段分早くしたり、絞りとシャッターを一段づつ絞ったり早くしたりします。

EV

露出計で測るとEV〇〇といった情報も表示されますが、EVというのは『光の強さを数値で表したもの』で、EVについての詳しいことはEV(EV値・EV換算表)に書いておきます。

EVのことに少し触れると、例えば初夏の強い日差しの時の光の強さは私の経験上〈EV14〉くらいです。EV14の明るさというのはISO感度100なら[f8と1/250]などの組み合わせで撮れる明るさです。

露出計

光の強さを測る機器は露出計
露出計は、入射光式露出計と反射光式露出計があります。

入射光式露出計

入射光式の露出計は、被写体のところからカメラに向けて露出を図り『被写体にどれだけの強さの光が当たっているか』を測ります。

露出計の表示を見れば絞りとシャッタースピードの組み合わせが分かり、入射光式で測ったときは露出計の示したままで撮影すれば間違い無いです。

反射光式露出計

反射光式露出計というのは、カメラの位置から被写体に向けて測る露出計で被写体から反射してくる光の強さを測る露出計です。

単体のものありますが、通常、カメラに内蔵されている露出計はこの方式の露出計となり、被写体の条件(色、逆光など)によって撮影するときは露出補正が必要になってきます。

この露出補正のことについては、別の記事露出補正(&必要な理由)で書いてありますが、今日のところは光の強さで絞りとシャッタースピードの組み合わせが変わるということがわかってもらえば良いと思います。

EV(EV値・EV換算表)
露出に関して大切な基準値(EV)について分かり易い一覧表にして説明しています。EVというのはExposure Value(エクスポージャー・バリュー)の略で露出の明るさを示すもので、ある特定の絞り値とシャッター速度の時の明るさを数値的に…
絞りの効果と作例
実写写真を使って、レンズの絞り値を変えると写り方がどんな感じで変化するのか、レンズの焦点距離によって変わる被写界深度の違いについて説明しています。
シャッター速度(効果と作例)
シャッター速度の違いによる写り方の違いを実写写真で説明していて、高速シャッターと低速シャッターの写り方の違いが一目でわかる初心者向けの基礎知識です。少しですが流し撮りの写真も載せていますので初心の方は参考になると思います。
露出補正(必要な理由と作例)
初心者の頃は、なんで露出補正が必要なのかよくわからないと思いますが、作品例を何パターンか載せてあるるので「そう言うことか」と分かると思います。特にフィルムで撮ってみたいという方には現像後の補正が難しいので、思い通りの明るさで撮るための必修知識です。
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