レンズの絞りの変化よる写り方の違いについて
絞りの効果と作例
露出/絞りとシャッターの関係のところで説明したとおり、レンズについている「絞り」はレンズを通過してくる光の量を調節する役目がありますが、絞りを操作することによって写真の写り方が変わってきます。
被写界深度
カメラを構えて何かを写そうとする場合、カメラから被写体に向かって線を引いたと仮定すると、ピント(焦点)はその線上の一点でしか合いません。
しかし、そのピント面の前後でピントが合っている様に見える範囲があります。
この範囲のことを被写界深度と言います。
スマフォやコンパクトカメラで撮った写真は画面全部にピントが合った感じになりますが、絞りの効果を理解して撮ればメインの被写体を浮き上がらせる背景のボケ具合も自由自在、一眼レフを使えば思い通りの写真が撮れるようになります。
被写界深度の量は一定ではなく条件により変わり、基本的には
- 絞りを開いた(小さい数字)ほど狭く、絞った方が広い
- ピントの位置が近いほど狭く、遠いほど広い
- 同じ絞りなら望遠レンズの方が狭く、広角レンズの方が広い
- 焦点面より手前に浅く、奥に広い
という性格があります。
被写界深度の違いがわかる作例
以下に50ミリ、28ミリ、85ミリのレンズで絞りと撮影距離を変えて撮ったものを載せてみます。
どの組み合わせも、絞りは上から順にf2/f4/f11
ピント位置はペットボトル(微妙にずれているのありますが)
カメラの位置は全て同じです。
camera : Nikon D810
lens : Zeiss Distagon & Zeiss Planar
過焦点距離
過焦点距離というのは、被写界深度の奥(遠い方)が無限遠に届く一番近いピント位置です
この位置にピントを合わせると、ピントを合わせた距離の1/2の距離から無限遠までが被写界深度の中に収まり(ピントが合った様に写り)ます
過焦点距離=(焦点距離の2乗)/(許容錯乱円×絞り値)
で求められます
計算式を知らなくても撮影には影響しませんが、レンズにはこれに関係した重要な情報が表示されていて知らないと大損です
赤色の丸で囲んだ部分ですが、中央の線の両側に(4/8/16)と数字が書いてあります。
ある絞りに設定した時、それと同じ数字の目盛りで挟まれたピント目盛の範囲が被写界深度に入りますという表示です。
回析現象
絞り込むほど被写界深度が広くなり、ピントが合っている様に見える範囲が広くなていきますが、あまり絞り込みすぎると、画面全体の解像力が低下してボケたように写ってしまうこと
光が波長であるために起こる現象で、絞りの穴を通過した光が絞り羽根を回り込む様に進むのが原因ですが、ここでは絞り込むほど鮮明に写るわけではないということだけ分かっていただければいいと思います。